【事業レポート】演出家・川口智子と
ミヒャエル・エンデ「モモ」を語ろう(後編)
更新日:2025.3/27(木)
2025年3月末、ミヒャエル・エンデ「モモ」を公募出演者&プロの劇場スタッフと共に創作・上演する「劇場留学〜『モモ』と時間の旅〜」。作品をよりお楽しみいただきたく、原作の「モモ」や著者のミヒャエル・エンデの魅力も併せてお伝えしようと、小田原市内の書籍関係施設で、関連展示やイベントを開催してきました。今回は、1月に行った南町にある本屋・南十字でのトークイベントの模様を、凝縮してでご紹介。後編は、会場にいらしたからからの鋭いご質問のセレクト集です。
✏︎前編はこちら▶︎【事業レポート】演出家・川口智子とミヒャエル・エンデ「モモ」を語ろう(前編)
イベント開催日 | 2025年1月26日(日)14:00〜16:00 |
会場 | 南十字(小田原市南町2-1-58) |
出演 | 川口智子(演出家/「劇場留学〜『モモ』と時間の旅〜」脚本・演出・美術) 聞き手:鈴木美咲(南十字 運営メンバー/編集者・デザイナー) |
◆今回の「モモ」は市民の方と制作するプロジェクトですが、市民の方とつくる醍醐味や、プロの方とつくる違いなどをお聞きしてみたいです。

市民の方、いわゆる演劇を生業としない方と、プロの方とのつくり方に大きな違いはないですね。ただ、本番へ向けてのテンションのペース配分をどうしていくか、気持ちの持っていき方は経験値によるところが大きいかもしれないので、市民の方の高いテンションに引っ張られて、私も気持ちが自然に上がっていくことも多いかもしれません。
実は演劇は、台詞を言いながら動いたり、周りの人と関係性をつくる、日常の身体や生活とリンクするところがあるので、そういうところも稽古のポイントになっています。
公募の出演者の方は、普段の生活もある中での稽古、すごく大変だと思うのですが、大変な分の達成感もありますし、ぜひ多くの方につくる側としての演劇体験をしてほしいと感じますね。
私自身本当に学びが多いですし、そういう色々な経験の方が舞台で一緒にいられるということが、“劇場の喜び”です。
実は演劇は、台詞を言いながら動いたり、周りの人と関係性をつくる、日常の身体や生活とリンクするところがあるので、そういうところも稽古のポイントになっています。
公募の出演者の方は、普段の生活もある中での稽古、すごく大変だと思うのですが、大変な分の達成感もありますし、ぜひ多くの方につくる側としての演劇体験をしてほしいと感じますね。
私自身本当に学びが多いですし、そういう色々な経験の方が舞台で一緒にいられるということが、“劇場の喜び”です。
◆保育士をしている者です。子どもとの遊びの中で、オオカミになったり鬼になったり、ゾンビになったり…今日のお話がとても腑に落ちることが多く、お芝居と自分の行っている仕事は近しいことなのではと感じました。演劇のお仕事と保育士との共通点で思いつくものがあれば、お聞きしてみたいです。
面白い視点でお話を聞いていただきありがとうございます!
すごく難しいご質問ですが、一つ思ったのは、全力で遊ぶ仕事というところに、少し共通点があるかも、と思いました。
例えば、「モモ」に出てくる<灰色の男たち>はタバコを持たせないといけないですが、タバコは教育上良くないとか、そういう議論になる面もありますよね。だとすると、舞台上のタバコをどういう素材でどのように魅せるか、ある意味抽象化させて、普通には“よくない”部分だけではないところに、スポットを当てる必要がある。
それを、うまく表現するヒントを見つけて、演出として形にしていく作業の根本は、“遊び”にあると思っています。
柔軟な発想で“遊ぶ”子どもたちをサポートされる保育士さんと、“遊び”を仕事にするという部分で繋がりのある演劇の世界とで、子どもたちに良い影響を与えられるようになれたらいいですよね。
◆今回の「モモ」、楽しみにしています。ネタバレをしない程度に、“ここを観て”というシーン等があれば教えていただけますか?
細かい部分では、元々「モモ」をやりたいと思った時にイメージにあった、“灰色の男たち”が、いかに魅力的にみせられるか、ということです! 悪役って本当に素敵じゃないですか。このキャラクターを格好良くみせられるかも、肝だと思っています。
大きくいうと、一つ芯にしようと思っているのは、極力「もの」を出さないで、なるべく言葉と身体だけで表現できることを考えています。劇場ならではの“マジカル”な仕掛けを、お楽しみいただけたらと思いますね。
あとは、例えば読書をする際に、一つの本に対してたくさんの“個的な”イメージが浮かぶように、今回の「モモ」では、一人ひとりの劇場体験が“個的な”ものになることを、目指しています。
今回、普通に読み上げたらとても長い時間がかかる「モモ」を演劇にしていくにあたり、自分で上演台本も担当し、エンデの表現の緻密さや、言葉としての勢いにもあらためて感動しました。この作品が持つ“物語る”力を劇場で体験できる空間をつくることができればと思っていますので、楽しみにしていてください。
大きくいうと、一つ芯にしようと思っているのは、極力「もの」を出さないで、なるべく言葉と身体だけで表現できることを考えています。劇場ならではの“マジカル”な仕掛けを、お楽しみいただけたらと思いますね。
あとは、例えば読書をする際に、一つの本に対してたくさんの“個的な”イメージが浮かぶように、今回の「モモ」では、一人ひとりの劇場体験が“個的な”ものになることを、目指しています。
今回、普通に読み上げたらとても長い時間がかかる「モモ」を演劇にしていくにあたり、自分で上演台本も担当し、エンデの表現の緻密さや、言葉としての勢いにもあらためて感動しました。この作品が持つ“物語る”力を劇場で体験できる空間をつくることができればと思っていますので、楽しみにしていてください。
\ 本の世界と合わせてお楽しみください /
本にまつわる関連展示
◆〜3/31(月) 小田原駅東口図書館
モモとミヒャエル・エンデ
「劇場留学〜『モモ』と時間の旅〜」プロの演出家・出演者のおススメ本を特別展示
◆〜4/13(日)南十字
モモとミヒャエル・エンデ 関連展示【後期】
モモとミヒャエル・エンデ
「劇場留学〜『モモ』と時間の旅〜」プロの演出家・出演者のおススメ本を特別展示
◆〜4/13(日)南十字
モモとミヒャエル・エンデ 関連展示【後期】
\ WEB・窓口予約受付中 /

「劇場留学〜『モモ』と時間の旅〜」
◆モモ
[開催日時]2025年3月28日(土)19:00★、29日(土)13:00/17:00、30日(日)13:00
[会場]小田原三の丸ホール 小ホール
[脚本・演出・美術]川口智子(演出家)
[振付・出演]木原浩太(ダンサー・振付家)
[出演]公募出演者 26名、李そじん(俳優)、埜本幸良(俳優)
◆稽古期間
本読み 2024年11月
プレ稽古 2024年12月〜1月
稽古 2025年2月〜3月
[開催日時]2025年3月28日(土)19:00★、29日(土)13:00/17:00、30日(日)13:00
[会場]小田原三の丸ホール 小ホール
[脚本・演出・美術]川口智子(演出家)
[振付・出演]木原浩太(ダンサー・振付家)
[出演]公募出演者 26名、李そじん(俳優)、埜本幸良(俳優)
◆稽古期間
本読み 2024年11月
プレ稽古 2024年12月〜1月
稽古 2025年2月〜3月
✏︎ 2023年「劇場留学〜お芝居をつくる7日間〜」留学の記録はこちら!
「劇場留学〜お芝居をつくる7日間〜」ガイド役の映画監督・北川未来さんによる映像と、演劇事業のサポートスタッフの経験もあり斎藤明仁さん(大学院生)によるテキストによる記録です!
【劇場留学】8月21日(月) 留学1日目の記録/【劇場留学】8月22日(火) 留学2日目の記録/【劇場留学】8月23日(水) 留学3日目の記録/【劇場留学】8月24日(木) 留学4日目の記録/【劇場留学】8月25日(金) 留学5日目の記録/【劇場留学】8月26日(土)留学6日目の記録/【劇場留学】8月27日(日)留学7日目の記録