【劇場留学】8月22日(火) 留学2日目の記録

更新日:2023.8/23(水)

 2023年夏、劇場でしかできないスペシャルな体験を楽しんでもらおうと開催する「三の丸ホールの夏休み『劇場留学〜お芝居をつくる7日間〜』」(2023.8/21〜27)。総勢20名ほどが参加する“劇場留学”の模様を、ガイド役の北川未来さんによる映像と、演劇事業に携わる大学院生・斎藤明仁さんのテキストで、ワークショップの様子を毎日レポート。
 2日日は、家から持ってきた“使わないもの”のいいところを商人になって売り込んだり、<庚申講>からヒントを得た、<三尸の虫>に耳を傾けて物語を探ってみたり!?

参加者 <劇場留学生>
小学3〜6年生 14名(小田原市内、南足柄市、開成町)
訪日外国人 4名(スリランカ,フィリピン,フランス,イギリス)
<中学生サポートスタッフ>
1名(小田原市内)
ガイド役 川口智子(演出家/「劇場留学」ガイド役)
せせらぎ(大道芸人/「劇場留学」ガイド役)
北川未来(映画監督/「劇場留学」ガイド役)
留学日 2023年8月22日(火)
留学先 三の丸ホール 展示室
8月22日(火)留学内容 ・ウォーミングアップ
・早並びゲーム
・つくった町の一日を再現
・小田原の歴史をまなぶ:外郎(ういろう)売、三尸(さんし)の虫
・地図を描いた段ボール作品の制作(前日8/21のつづき)
・「楽屋ばなし」動画収録

留学の記録:斎藤明仁(さいとう・あきひと)

上智大学大学院博士前期課程在籍。専門は多和田葉子、フェミニズム批評、ジェンダー論。文筆家やドラマトゥルクとしても活動している。過去にかかわった演劇作品に、『夜ヒカル鶴の仮面』、くにたちオペラ『あの町は今日もお祭り』、三人之会『胎内』など。

町の音に耳をすませば

ウォーミングアップの一コマ

 ウォーミングアップを終えて、今日もまた町をつくります。地図をつなげるときは、昨日と違う理由を決めました。町にあるものは変わらないけれど、その風景は毎日変化していきます。昨日つくった架空の生物たちも町に住みはじめました。何時に起きてどうやって移動するかを考え、全員で町の一日を再現してみます。夜行性の生物もいれば、ずっと動かない生物もいました。

町の中に、架空の動物たちも住み始めて!?

 架空の生物たちはどんな音を出すのでしょうか。明日は、みんなのつくったキャラクターの音を使って、音楽をつくります。今日はそのための準備、生物が動いたりしゃべったりする音を想像してみました。それぞれが出した音は録音して、明日つくる音楽のタネにするようです。

歴史を通して「町に触る」

「外郎売」の口上を披露する せせらぎさん。沸き立つ観客。

  小田原の歴史を基にしたワークショップもおこなわれました。まずは外郎(ういろう)売の真似をします。外郎とは、別名「透沈香(とうちんこう)」とも言われる、丸い形をした万能薬のことです。それを売る外郎売の口上は、歌舞伎に典拠があり、現在では発声練習として声優や俳優たちに親しまれています。留学生たちは当時の外郎売を想像しながら、家から持ってきた不用品を売るために、その品の好きなところを宣伝しながら歩き、お互いに紹介し合います。相手のものが欲しいと思ったら交渉をして交換し、それを何回か繰り返していきます。

“いらなくなったもの”のいいところを発表

“いらなくなったもの”を売り込み、物々交換できるか!?

三尸の虫を生みだす!

寝転んで、虫の声に耳を傾けてみよう

 次は、三尸(さんし)の虫が題材です。三尸の虫とは、人間の身体のなかに住むとされる架空の虫のことで、小田原近辺にある言い伝えにも登場します。この虫は、六十日に一度だけ身体から出て、人間の悪いことを閻魔さまに報告すると言われています。だから、人々は虫が出て来ないように、その日一日中起きていたのだそう。留学生たちは、目玉をつくり、虫の真似をして、せせらぎ閻魔さまに人間のしたことを報告しました。踏まれたりたたかれたり捕まえられたり、人間はなんて怖いのでしょうか。

せせらぎ閻魔大王さまへ、報告する行列

  これらのワークショップは、事前におこなわれたフィールドワーク(しらべの旅)での体験がもとになっています。ガイドの三人は現実からフィクションへの道筋を、実に丁寧に組み立てていたのだということがわかります。

わたし(たち)の物語をつめこんで

どんどんカラフル、賑やかに!

 外郎売も三尸の虫も、昨日(8/21)つくった地図に描き加えていきます。段ボールにはふたつの四角い穴が空いていました。一方には網戸が張られており、そこに自分の不用品を宣伝する看板を描きます。もう一方には、虫が住む身体のなかの様子を半紙に描いて貼ります。穴の縁に色を塗って、徐々に段ボールは両面ともにカラフルになりました。これはいったい何をつくっているのでしょうか。そろそろ完成がみえてきています。

三尸の虫の絵を地図部分に貼る

絵を描く 1

絵を描く 2


 1日の終わりには毎回、参加者(劇場留学生、中学生サポートスタッフ)の方からくじで決定した2〜3名へのインタビュー映像撮影を行っています。
 小田原三の丸ホールのYouTubeチャンネルで公開していく映像(撮影・編集:北川未来/映画監督・「劇場留学」ガイド役)も併せてどうぞ!
<本日の楽屋ばなし>
・ゆいぴー(劇場留学生)
・なっちゃん(劇場留学生)
・まきこ(中学生サポートスタッフ)
 

\ 8/27(日)15:00開演 プレミア 予約受付中! / プレミア(お披露目)の世界初演、ぜひ劇場に観にいらしてください!

三の丸ホールの夏休み「劇場留学〜お芝居をつくる7日間〜」
[開催日]2023年8月21日(月)〜 27日(日)
[会場]小田原三の丸ホール 小ホール/スタジオ、小田原市観光交流センター

◆プレミア(お披露目)
[日時]8月27日(日)15:00開演
[会場]小田原三の丸ホール 小ホール
[入場]無料

「劇場留学」公演詳細ページ


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