【鑑賞レポート】イラストと写真で振り返る
「新日本フィルハーモニー交響楽団 サマーコンサート in 小田原」
2024.8/24(土)
2024年7月6日(土)に大ホールで開催した「新日本フィルハーモニー交響楽団 サマーコンサート in 小田原」。パワフルな演奏と満席のお客さまで、“サマーコンサート”にふさわしく、熱気あふれるステージになりました。
クラシックは少し堅苦しいかも!? と思われがちですが、そんなイメージを少し和らげようと、今回はその模様を、フォトグラファー・ヒダキトモコさんの公演写真だけではなく、小田原在住のイラストレーター・ゴトータケヲさんのイラストを添えて、振り返ります。
新日本フィルハーモニー交響楽団 サマーコンサート in 小田原
【会場】大ホール
【プログラム】
♪ N.リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲 イ長調 op.34
♪ S.ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 op.43
<♪ 小林愛実さんアンコール> F.ショパン:幻想即興曲 op.66
(休憩)
♪ G.ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」序曲
G.ビゼー:
♪ 歌劇「カルメン」より、第1幕への前奏曲、ハバネラ、ア
士の歌、ジプシーの歌
♪ 「アルルの女」第1組曲より”カリヨン”、第2組曲より”メヌエット”、”ファ
<♪オーケストラアンコール>グリーグ:2つの悲しき旋律 op.34 より第2番「過ぎにし春」
イラスト:ゴトータケヲ
好きな音楽 サウンドトラック 民族音楽 昭和歌謡
好きな喫茶店 ワンダフル ケルン
好きな中華料理店 氷花餃子
【SNS】 https://x.com/st_takeo_cash
撮影:ヒダキトモコ
米国ボストンで幼少期を過ごす。音楽・演劇界等のアーティストを中心とする人物写真と、コンサートやミュージカル等のステージフォトをメインに撮影。CD ジャケット写真、雑誌の表紙・グラビア、各ホール・舞台・音楽祭のオフィシャル・フォトグラファ ー。趣味は語学と旅。すきな小田原のお菓子は「ういろう」。
【公式Instagram】@tomokohidaki_1 / @tomokohidaki_2 / @tomokohidaki_3
【公式WEBサイト】https://hidaki.weebly.com
生演奏の響きの良さに定評がある大ホールでは、プロのフルオーケストラの公演を年に1回開催しているほか、より深くその魅力をお伝えするべく、本番前に行われるリハーサルの公開も可能な限り行っています。今回の新日本フィルハーモニー交響楽団のコンサートでも、小学生以上の方を対象に公開リハーサルを実施し、コンサートがつくりあげられる舞台裏もご覧いただく機会を設けました。
公開リハーサルの模様
開場中
本公演のためにつくられた作品(制作:熊谷 玲)を展示
開演し、まずはチューニング(音合わせ)
お客さまからは、オーケストラと共鳴する、小林愛実さんの華奢なお身体から想像できないようなダイナミックな演奏、そして時に繊細に甘やかに響くピアノの音色に感動された、というご感想を多くいただきました。アンコールは、聴き馴染みのあるF.ショパン「幻想即興曲」で、前半の最後にホッと一息つくような柔らかいピアノの音色を堪能。
指揮者の存在感
そんな雰囲気からはガラッと変わり、本番は身体全体を駆使したエネルギッシュな指揮で、出演者そして客席を沸かせる大熱演!
ドラマティックな楽曲が続いたので、最後に爽やかな空気を、と選曲されたアンコール「過ぎにし春」。この演奏の前にも、弦楽器の“スル・ポンティチェロ”という特殊奏法についてお話しを挟み、色々な意味で“繋ぐ”要の役割でもある指揮者の姿を、存分に見せてくださいました。
パワフルな演奏を経て起きた、あるハプニング
後半プログラムでも様々な想像を掻き立てられ……
小田原にほど近い湯河原町ご出身のバストロンボーン奏者・鈴木崇弘さんが、新日本フィルハーモニー交響楽団に所属されているということもあり、トロンボーンをはじめ、オーケストラの各パートに見せ場がたくさんある楽曲がセレクトされていました。各楽曲、色彩豊かなオーケストラサウンドから、色々な姿が頭をよぎったのではないでしょうか? ゴトーさんのイラストと合わせて、楽曲の背景をご紹介します。
『ウィリアム・テル』は、19世紀ロマン派オペラの人気作曲家・ジョアキーノ・ロッシーニ(1792-1868/イタリア)の最高傑作とも謳われる、スイスの伝説の英雄ウィリアム・テルを題材にした歌劇。序曲は「夜明け〜嵐〜静寂〜スイス軍隊の行進(特にこの部分が有名)」で構成されており、情景がリアルに浮かぶ演奏を、今回もお楽しみいただけたのではないでしょうか。
『アルルの女』は、演劇作品の付随音楽として作曲された、ジョルジュ・ビゼー(1838-1875/フランス)の作品。プロヴァンス地方のアルルで出会った女性に心酔する、ある男性の悲劇を描いた戯曲で、オーケストラ用に編曲されたこの組曲は、現代のオーケストラに欠かせないレパートリーとなっています。情熱的な女性のイメージが浮かんできた方も多いのでは?
オーケストラのアンコールで取り上げられたエドヴァルド・グリーグ(1843-1907/ノルウェー)「過ぎにし春」では、弦楽器のみのサウンドをたっぷり聴かせてくださいました。元々プログラムされていた楽曲がかなり華やかだったので、しっとりとした雰囲気で終演となりました。
ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」序曲 に寄せて
ビゼー:「アルルの女」組曲 に寄せて
<アンコール>グリーグ「過ぎにし春」に寄せて
上記でご紹介した、湯河原町ご出身・鈴木崇弘さんを中心としたトロンボーン四重奏のコンサートは、野外の金次郎広場でスタートし、途中の降雨によりフードスタジアム前へ移動することに。最後まで多くの方にお楽しみいただき、会場を移動したことが不幸中の幸いか、会場によるトロンボーンの音色の違いもお楽しみいただいたようです。
新日本フィルハーモニー交響楽団は、2025年の幕開けを飾る「ニューイヤーコンサート」で、また小田原に来られます。こちらもぜひ、チェックしてみてください!
新日本フィルハーモニー交響楽団 特別公演 ニューイヤーコンサート2025
【会場】大ホール
【出演】大井剛史(指揮)、田添菜穂子(司会)、瀧本麻衣子(ヴィオラ)、櫻井愛子(ソプラノ)
【プログラム】
♪ J.シュトラウスⅡ:歌劇『こうもり』より序曲、ポルカ「観光列車」、ワルツ「春の声」、ワルツ「美しく青きドナウ」、P.ヒンデミット:「白鳥を焼く男」第1楽章、第3楽章、F.メンデルスゾーン:歌の翼に 他