劇団こゆるぎ座 第六十九回公演
「日本開國哀話 唐人お吉」

  • 大ホール
  • 演劇・芝居
〈当日券について〉
2月25日(土)15:30~
2月26日(日)11:30~
2階 大ホールホワイエにて販売

公演によせて
 幕末、日本開国の中心舞台ともなった伊豆下田。唐人の妾として卑しみ蔑まれ、その短い生涯を無残にも終えた美麗芸者「唐人お吉」。その宿命とも言える時代の出会いがもたらした悲劇的事態の終結は、社会性にも人道的な視点からも、唯ただ哀切の念にかられる。
 そして、今までに世に語られた「お吉」そのものの実体性は、大方そんなところに意味づけられたことを事実として実感はしております。
 酒毒におかされ、思考が薄れ、狂人の如くにさまようその姿は、容易な想像が許される。嵐のあと、増水した激流の中に二本の足がつき出た入水自殺。住民たちは数日間そのままに放置したと言う。その真意はどれにあったかは尋ねる必要性は無縁でもある。ただ「お吉」の境涯を察するには、あくまで「こゆるぎ座流ロマン」として、座付作家の筆をとおして、その意図、心情を戯曲の中に生み出してもらうこととなりました。
 これにみる座員たちの願いと、作者の後藤翔如との確かな思い入れの執念が一つとなって、この創作劇の完成に至ったいきさつをお伝え致したいと思いました。
 ご高覧いただけますれば、まことに幸甚に存じます。
                               劇団こゆるぎ座
                                   代表 関口 秀夫

日時 ①2023年2月25日(土)
 17:00~19:00(開場16:30予定)
②2023年2月26日(日)
 13:00~15:00(開場12:30予定)
※途中休憩なし
会場 大ホール
料金 【全席自由】
小学生以上 1,500円
※未就学児の膝上観賞は無料
チケット販売
<窓口販売>
◆小田原三の丸ホール
 (10:00~20:00/第1•3月曜休 ※祝日の場合翌平日休)
◆ハルネ小田原街かど案内所
◆平井書店
出演 〈下田奉行所〉
奉行 前沢 作衛門:前島 隆司
差配役 伊佐 新次郎:野村 信太郎
通弁 佐々木 三郎:楠田 正宏
与力 藤田 助三郎:根本 健

〈京都三条邸〉
公家 三条 綾麻呂:関野 宙
   姉小路 公麿:山﨑 隆矢
勤皇の志士 平野 伴太郎:勝俣 健吾
      真木 新二郎:野田 満
      川瀬 格之助:杉本 剛史
巫女:羽尻 真由美

〈伊豆下田〉
芸妓 お吉:奥津 真理子
   お福:井上 阿沙子
船大工 鶴松:関田 弘志

〈料亭藤丸〉
女将 いね:一色 宇多子
女中 はる:松橋 ゆう
   なつ:新井 敏子
   きぬ:宮田 紗名/木村 那奈
板場 佐兵衛:酒口 松男
   留三:鎌田 健太郎

村人たち:加藤 純一/穂谷野 雅美

子どもたち:関野 龍太/関野 文太/北野 碧唯
スタッフ 演  出 楠田 正宏
演出助手 野村 ゆか
舞台装置 門松 正夫
照  明 三の丸ホール照明部
衣  裳 中村 由加
     羽尻 真由美
     東京衣裳(株)
か  つ  ら (株)山田かつら
着  付 大嶋 弘子
     杉山 一代
小  道  具 渡邊 園子
     森田 広恵
音  響 三の丸ホール音響部
効  果  音 瀬戸 美咲
音  楽 保乃 しんり
宣伝美術 奥津 一樹
イラスト 勝俣 美菜
題  字 陌間 要一
記  録 奥津 守
舞台監督 中條 正人
会場運営 森下 純子
     穂谷野 雅美
     穂谷野 朝
協  力 ランケイ社(浜町)
資料参考 伊豆下田
     玉泉寺(元アメリカ領事館)
     宝福寺(お吉の菩薩寺)
制  作 関口 秀夫
留意事項 【おことわり】
新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、やむを得ず公演を中止することがあります
【ご来場のお客様へのお願い】
お客様に安心してご来場いただけますよう、出演者・スタッフをはじめ関係者一同、感染予防対策に努めてまいりますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。
〇会場入口にて検温とアルコールによる手指消毒を実施します。
〇以下のお客様につきましては、ご入場をお断りいたします。
・入場時の検温で37.5度以上の発熱がある方。
・咳、咽頭痛、倦怠感等の症状がある方。
・ご自身が現在、新型コロナウイルスの陽性者であり政府の定めた療養期間を完了していない方。
・ご自身が濃厚接触者に該当し、政府が定めた待機期間を完了していない方。
〇館内では会話をお控えいただき、必ずマスクの着用をお願いいたします。
〇チケット半券にご来場者のお名前と電話番号を事前にご記入の上、お越しください。万一、本公演においてクラスターが発生した場合は、お名前、電話番号を保健所と共有させていただきます。
〇ご入場の際はチケット半券をお客様ご自身で切り取り、半券回収箱へお入れください。
〇出演者等へのプレゼントや面会はご遠慮ください。
〇小田原三の丸ホールでは客席での飲食は禁止されております。
〇終演後は混雑を避けるため順番に退場していただきます。スタッフから案内があるまでは着席のままお待ちください。
主催 / 問い合わせ先
劇団こゆるぎ座
電話:080-3915-2211(事務局)

さがみ信用金庫地域文化芸術振興基金助成
令和4年度神奈川県演劇フェスティバル参加(神奈川県演劇連盟)
神奈川県文化芸術活動団体事業補助金対象事業

2023年1月3日(火)チケット発売開始

そえがき 後藤翔如

 らしゃめん、「洋妾」と書いてそう読ませる。
 ポルトガル語で雌の羊を指す。航海時代、食肉として帆船に積み込まれたが、水夫たちの劣情発散の役目も果たした。つまり娼婦の代役、それも文字どおり人間以下の対象としての呼称である。
 幕末の混沌とした時代に、初代駐日総領事として下田に着任したハリスの傍へ仕えたお吉は『らしゃめん』四辺からそう罵倒された。往時の下田の人々がどうしてそんな外国語を知っていたのか、長崎からでも伝わって来たか、罵声だけでなく石を投げつけられたという。そのとおりハリスの妾になったのか、石を投げられてまで情婦になる義理はお吉にはなく、ハリスの要請に下田奉行所が大金を提示して口説いたとあり、ピンカートンと蝶々夫人のような情趣は一片もない。
 恋人鶴松を見限ってまでも大金に惹かれたか、そうでもなさそうだが、そのあたりの事情は分からない。ハリスがアメリカへ去ってお吉は下田へ戻り、鶴松と世帯を持ったとあるが、すぐ破局を迎えて下田から消えている。らしゃめんと呼ばれる女との所帯がうまくいく筈がないとも思うが、これも詳しい経緯は分からない。
 お吉が再度下田に登場するのは、五十代になってからである。酒を漁る惨めな乞食姿で徘徊する。結果として、稲生沢川の淵へ身を沈めて自殺するのだが、すぐには死なない。さんざ下田界隈に恥を晒し、その水死体は数日間、水面に浮いたまま放置されていたという。
 これがまた分からない、なぜそれほど冷酷視される下田へわざわざ帰って来たのか、酒毒に犯されたお吉の頭からは見栄も外聞も失せ、ただ酒精を求めて天城峠を越えて来たのだろうか。そのあたりの混乱を描いたのがこの舞台で、それまでの行跡は史伝に倣って、想像を膨らませた。

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